(社)日本新聞協会の調べによると、2017年における全国の新聞販売店に勤める従業員人数は、30万909人いるそうです。
その中には、専業で行っている人もいれば、副業で仕事する人、学生アルバイトなど働き方も様々です。
一般的なイメージでは、『新聞配達=勤労学生が頑張っている姿』を想像する人も多いかもしれませんが、実際のところは言うと、特に都市部では、新聞販売店に勤務(専業)して、それで生計を立てている人、つまりは、正社員として働く人も数多くいます。
そこで、「新聞販売店に勤めると給料はいくら貰えるの?」「貰えたとしても、安いんじゃないの?」「年収は、他と比べて妥当なの?」と言った疑問に迫ってみたいと思います。
新聞販売員の給与の仕組みは、基本的に「基本給+歩合給」が一般的です。
「基本給」は毎日の配達や担当地区の購読者管理などの業務に対する報酬で、「歩合給」は、新規勧誘や以前に新聞を取っていたが、今はやめてしまっている人を再契約したなど、主に営業業務に対するインセンティブです。
それでは、新聞販売店に勤めて、実際どのくらい貰えるのか、求人の募集要項から事例をいくつか見てみましょう。
<都内某所の新聞販売店の場合>
[社]月給22万円~+インセンティブ
※入社後の経験年数に応じて昇給もしていきます。
【年収例】
◇380万円(月給30万円+歩合+賞与)/入社5年目・新聞配達スタッフ
◇650万円(月給40万円+歩合+賞与)/入社8年目・店長
<神奈川県某所の新聞販売店の場合>
[社]月給26万以上
※経験・能力を考慮の上、給与を決定
【年収例】
◇600万円/入社3年目(52歳)/月給26万円+賞与年2回+インセンティブ+各種手当
◇500万円/入社1年目(36歳)/月給26万円+賞与年2回+インセンティブ+各種手当
<広島県某所の新聞販売店の場合>
[社]月給20万円以上+成果給
※区域管理:経験・能力を考慮
【年収例】
◇515万円/店長・入社8年目
◇408万円/主任・入社5年目
◇348万円/社員・入社2年目
<兵庫県某所の新聞販売店の場合>
[社]月給18~30万+インセンティブ・報奨金
【年収例】
◇450万/(5年目店長)月給30万×12カ月+報奨金・賞与
ある調査で、「新聞配達員の平均年収は309万円、月収ベースだと22万円が相場」というデータを見たことがありましたが、上記の募集事例を見ると実績や能力といった成果給が加味されると、平均相場を上回る給料が現実に貰えることがわかります。
では、新聞販売店の社員が受け取る給与額は、妥当なのでしょうか?
国税庁が発表した平成28年民間給与実態調査によると、日本の平均年収はざっとこんな感じです。
平均年収:422万円(男性:521万円 女性:280万円)
上記年収は、あくまで全年齢(平均46歳)のデータです。
こまかい年齢別で見ると、こんな感じです。
年齢 | 男女平均年収 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
20~24歳 | 258万円 | 275万円 | 241万円 |
25~29歳 | 351万円 | 383万円 | 309万円 |
30~34歳 | 403万円 | 457万円 | 315万円 |
35~39歳 | 433万円 | 512万円 | 300万円 |
40~44歳 | 460万円 | 563万円 | 302万円 |
45~49歳 | 494万円 | 633万円 | 299万円 |
50~54歳 | 504万円 | 661万円 | 296万円 |
55~59歳 | 494万円 | 649万円 | 288万円 |
60~64歳 | 378万円 | 479万円 | 228万円 |
65~69歳 | 306万円 | 387万円 | 195万円 |
全年齢(平均46歳) | 422万円 | 521万円 | 280万円 |
このように、日本人の平均年収と比べてみても、新聞販売店の給与が安すぎるということはないように思えます。
もちろん、新聞販売店の給与は、「成果給」に左右されやすいので、「常に安定して貰える」という保証はありません。
文字通り「成果実力主義」と言ったところでしょうか。
むしろ、新聞販売店の仕事としての「実力」をコツコツと身に付ければ、「新聞配達員」として立派に生計が立てられ、蓄財を築きつつ、さらなる「高み」を目指すことも可能です。
さらに、自分に与えられた仕事をきちんとこなせば、定時に関係なく業務終了となります。
そういった意味でも、「時間に拘束されることなく、割の良い仕事だ!」と思う人も少なくないのではないでしょうか。