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消費税の増税|新聞販売店.COM

国や地方自治体は、私たち国民の「税金」によって成り立っています。
税金には実にさまざまな種類があります。
例えば、給料をもらえば「所得税」、家を持っていれば「固定資産税」、車を保有していれば「自動車税」などがすぐに思い浮かぶことでしょう。
これらの税金は、納税者が直接おさめる仕組みになっていることから「直接税」と言われています。
しかし、税金には直接税の他にもう一つ「間接税」という種類の税金も存在します。
その代表的なのが「消費税」です。
消費税とは、何かモノを購入したり、サービスの提供を受ける際に課せられる税金で、それらの代金と一緒に税金も一緒に上乗せして支払う仕組みです。
そう言った意味では、「酒税」や「たばこ税」も間接税に該当します。

さて、この消費税ですが平成元年4月1日から制定され、当初は3%だったものが平成9年には5%、平成26年には8%と段階的に引き上げられてきた経緯があります。
そして、令和になった現在、10月からいよいよ現行8%から10%に引き上げられます。
10%…つまり、消費する代金の1割が税金で上乗せされますから、1万円のものは+1千円、10万円なら+1万円、100万円だと+10万円が加算されるわけです。

この税制は、誰でも、どんな消費でも一律(一部除外)で適用される属性があり、低所得者にとって負担の度合いが更に重くのしかかってしまいます。
そこで考えられたものが「軽減税率」です。

軽減税率とは、「日々の生活において幅広い消費者が消費・利活用しているものに係る消費税負担を軽減する」という大義のもと、酒類や外食を除く飲食料品の消費に対しては現行8%の軽減税率が適用されるものです。
そして、飲食料品以外にもう一つ、軽減税率が適用されるものがあります。
それが「新聞」です。

軽減税率の対象となる新聞とは?

とは言っても、全ての新聞が軽減税率の対象となるわけではありません。
軽減税率が適用されるためには、いくつかの条件があります。

  1. 定期購読契約が締結されていること
  2. 週に2回以上発行されていること
  3. 政治や経済などの一般社会的事案が掲載されていること

この条件ですと、全国紙の大手5紙はもちろん、地方紙も含まれるほか、スポーツ新聞や英字新聞、業界新聞なども軽減税率の対象となります。

なぜ新聞は軽減税率の適用になるの?

日本より先に消費税を導入している欧州各国では、新聞を軽減税率の対象としている国がいくつも存在します。
その理由として、新聞などの活字文化は単に消費されるものではなく、「思索のための食料・栄養源」という考え方があるからです。
つまり、新聞とは、人が深く考える際に必要な糧(かて)であり、原動力になるという観点から「単なる消費ではない」と言っているわけです。
日本でもそれにならい、誰もが一様に知識や情報を得るための手段として、新聞への軽減税率が適用となったようです。

軽減税率の適用外となる新聞は?

注意しなければならないのが、たとえ一般に読まれている通常の新聞であっても、軽減税率の適用外となる新聞があります。

  • コンビニやキオスクで販売されている新聞
  • 電子版の新聞

軽減税率の適用となるためには「定期購読契約の締結」が必要となりますから、街角で売られている新聞は任意での不定期消費にあたるため軽減税率の適用外となります。
もし、一部売りの新聞を売店などで頻繁に購読している人でしたら、定期購読の切り替えを検討してみても良いでしょう。

また、最近普及が進んでいる電子版の新聞ですが、こちらも軽減税率の適用外となっています。
「なぜ電子版が除外されるの?」と不思議に思いますが、国の考え方としては、実際に「新聞という物体の受け渡し(譲渡)があるか、どうか?」が対象の基準としているようです。
ただし、電子版と紙版がセットになっている契約では、紙版のみ軽減税率8%で電子版は10%とそれぞれ異なる税率で料金を合算します。

新聞販売店の仕入れはどうなる?

一方、新聞販売店から見た新聞に対する消費税はどうなるのか気になるところです。
新聞販売店は一般的な消費者と違い、新聞を仕入れて販売している事業者(納付義務者)にあたります。
定期購読者への新聞提供は、新聞代金に軽減税率である8%を上乗せして販売されます。
しかし、新聞販売店は新聞を新聞社から仕入れをしています。
そうした場合、仕入れに係る消費税も軽減税率が適用されるのでしょうか?
答えは「NO」です。
新聞の仕入れに係る消費税については、標準税率10%の適用となります。
そうすると、一つ疑問が生じます。
仕入れには10%、販売には8%の消費税がそれぞれ適用されるとすると、その差額2%は新聞販売店が負担することになってしまいますね。
しかし実際には、消費税の納付申告でしっかり計算され、最終的に余計な負担を強いられることはありません。
ただし、一時的に差額分の負担をすることも考えられます。
そう言った意味ではキャッシュフローの悪化が懸念されるので、資金繰りにはより一層目を光らせる必要がありそうです。

消費の価値とは?

社会保障・税一体改革により、消費税率引上げによる増収分を含む消費税収(国・地方、消費税率1%分の地方消費税収を除く)は、全て社会保障財源に充てることとされています。
目的はわかりますが、実際に税負担を強いられる消費者にとっては、やはり重荷になることは間違いないでしょう。

消費税の負担|新聞販売店.COM
それが、増税→消費の低迷→経済の悪化→税収減となったら、本末転倒です。
何かを購入(消費)する人は、その代金を税別か税込かを問わず、結局は消費税を加算したお金を支払うわけです。
その意識は、「支払った総額=消費の価値」として判断してもおかしくありません。
つまり、正味1,000円のモノを販売すると増税前は税込1,080円だったものが増税後は税込1,100円で消費者は購入しなくてはならないのです。
消費者が上乗せされた税込総額の代金の価値をどう判断するかによって消費行動も変わるわけです。

事業者がそれぞれの環境下において、現状→将来を見極める際のフレームワークに「SWOT分析(下図)」という手法を用いることがあります。

SWOT分析|新聞販売店.COMこれにあてはめると、今回の消費税増税は「外部環境下における脅威」に該当します。
その脅威に対して、どのような対策を講じていくか?
ここに経営手腕が問われるわけです。
外部環境の要因を変えることは非常に困難です。
それより、自らの内部環境において「強み」をあらためて洗い出し、「機会」を創出する術(すべ)を見出していくことが得策です。

まとめ

今回の増税では、新聞は軽減税率が適用される部分はありますが安心はできません。
なぜならば、本来の新聞代に加え消費税分が上乗せされた総額を購読者は「新聞の価値」として判断している人もいるからです。
新聞販売店は、この外部環境の脅威に立ち向かい、さらに「新聞の付加価値をつけるために何ができるか?」を考える際、やはり基軸は「地域ネットワーク」というキーワードが思い浮かびます。
それが新聞販売店ならではの最大の「強み」であり、さらなるサービス拡充→顧客満足に結びつける良い「機会」にしてほしいと願うばかりです。

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