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新聞販売店の立ち位置は今、どうなっているか?

まずは、上のグラフ(出典:情報メディア白書2017)をご覧ください。
このデータは、1970年から2015年までの新聞(日刊紙)発行部数の推移です。

ご覧になればおわかりのように、2000年をピークに毎年の発行部数が減少しているのが見て取れます。
逆に考えれば「無購読世帯」が増加しているとも言えます。

発行部数の減少は、新聞販売店のみならず新聞社にも大きな痛手です。
そこで、取捨決定権を持つ新聞社は「販売店(店主)の選別」と「区域調整」を名目に、エリア担当者の手で「切り捨て御免!」と言わんばかりに精査の目を光らせています。

新聞販売店の経営は「新聞売上」と「折込広告売上」の2つで成り立っています。
自店の販売エリアの無購読者が増え続けている現状について、これをどう捉えるでしょうか?
近隣する区域を吸収して、販売エリアを拡大しつつ、購読者数を確保することで経営を維持させようと考えるが自然です。

そこで新聞社は、部数を少しでも増紙又は維持できる可能性がある新聞販売店を見極めながら「販売店の選別」と「区域調整」を行なっているのです

新聞社から選ばれる新聞販売店になるために

それでは、新聞社による販売店の精査はどのような観点で行われているのか考察してみましょう。

[考察その①]    財務状況の観点 ⇒ 健全な経営を維持するだけの力はあるか?
[考察その②] 過去功績の観点 ⇒ これまでどれだけの新聞を買ってくれたか?
[考察その③] 経験年数の観点 ⇒ どれだけ長く続けてきたか?
[考察その④] 人間関係の観点 ⇒ 新聞社とのパイプや人脈を持っているか?

おおかた、上記のような観点で行われることが予想されますね。
しかし、ちょっと考えてください。
確かに[考察その①~④]は、重要な選別対象項目かもしれませんが、これでは長い期間、何代も続いているような規模の大きいところが圧倒的に有利になってしまいます。
それでは、規模がそれほど大きくなく、経験や過去の功績に乏しい中小販売店は問答無用に淘汰されてしまいますね。

そうならないためには、「地域に根付いた体制」や「新規開拓を行う意欲」、そして何より「お客様ファーストの姿勢」をお店全体の方針に掲げ、貫く行動こそ新聞社から選ばれる重要ファクターになると言えるでしょう。

購読者から選ばれる新聞販売店になるために

従来の新聞販売店の営業現場は、新聞既読者層に対して「乗り換え」⇒「奪い合い」をしてきました。
ときには過剰なサービス合戦であったり、行き過ぎで強引な営業であっても「読者獲得」が最優先事項です。
これでは「お客様ファースト」にほど遠く、新聞販売店の印象が悪くなる一方です。

では、選ばれる新聞販売店になるためにどうしたら良いのでしょうか?
まず大切なことは、「お客さんを知る」ということです。

考えてみてください。なぜ新聞購読者はお金を払ってまで新聞を取り続けるのでしょうか?
それは、「お金を払う代償」⇔「新聞の価値」が見合っていると思うからです。

では、「新聞により得られる価値」とは一体何でしょうか?
結論を申し上げると、「価値感はお客さんによって違う」と言うことです。

購読者の多くは、「新聞だったら何でも良い」ということではないはずです。
「経済面重視」という人もいれば、「スポーツ・芸能面」に関心を持つ人もいますし、「折り込みチラシ」に価値観を持っている人もいるはずです。
そこを知らずして、「うちの新聞取ってください!サービスしますよ!」と言ったところで、どれだけの人が納得して聞き入れてくれるでしょうか。

まずは、「お客さんが新聞に求めているものは何なのか?」を知ることです。
そのうえで、自店のすすめる新聞は「どこが優れているのか」、「他と何が違うのか」、「どんな価値観を持った人におすすめなのか」、「おすすめする理由は何か」など完結明瞭にプレゼンを行うのです。

今の時代、「売り手主導」ではもはや通用しません。「買い手基点」しいては「お客様ファーストの姿勢」こそが購読者に選ばれる新聞販売店の必須要件ではないでしょうか。

従業員/スタッフから選ばれる新聞販売店になるために

新聞販売を長年やっている人は、わかると思いますが、過去に新聞がどこの世帯でも当たり前に取っていた時代もありました。
その頃は、働き手の人たちも数多く新聞販売店に職を求めてやってきたのも事実です。

雇用する新聞販売店側と言えば、稼げることを謳い文句に人員確保に躍起で、肝心の労働環境の整備まで十分手が回らずじまいでした。

では、現在の労働環境はどうなっているでしょうか?

残念ながら、現在においても旧態からの脱却が図られず、業界全体として労働環境に課題を残したままです。
新聞販売業界は、ただでさえ慢性的な人手不足が続く中なのに、この現状で業界で働こうと言う人は増えるはずもありません。

新聞販売店の経営に、「人材」は最も重要なリソースであることは間違いありません。
特に中小の新聞販売店の場合、たった1人の優秀なスタッフがいるだけで、経営状態が劇的に変わる可能性を秘めています。

では、新聞販売店が優秀な人材を確保するにはどうすればよいのでしょうか?

新聞販売店に限らずですが、プロ野球のFA(フリーエージェント)のように、同じ業界で働いている人達が適正に評価され、企業側から直接オファーができ、さらに働く側も同じ業界内で企業を選べる仕組みも「アリ」かと思います。

もう少し現実的な視点で考えてみますと、「お金=報酬」も確かに大事ですが、業界全体で「待遇面」や「保障面」にも目をくばり、安心して働ける仕組みづくりが大切なのではないでしょうか。

また、職場で働くスタッフ全員に「会社の将来ビジョン」を共に語り合えるような職場を作り上げていく努力も経営側に必要な要素だと言えるでしょう。

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