一般的に会社の経営リソース(=資源)とは、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などがあります。
新聞販売店もりっぱな事業者です。
「これらのリソースをどう上手く有効活用して収益を得ていくか」まさに経営手腕が問われます。
まずは、新聞販売店経営について、架空の収益モデルを例に経営シミュレーションを行ってみましょう。
【モデル例】
取扱紙(仕入部数):3,000部
区域数:10区域
1部単価:月4,000円
予備紙率:2割
新聞売上:960万円
折込単価1部:月1,000円
折込売上:300万円
【損益計算】
①売上高:1,260万円(新聞売上960万円+折込売上300万円)
②売上原価:(仕入れ部数×6割)=720万円
③売上総利益:①-②=540万円
④固定費:⑤+⑥=490万円
⑤人件費(内訳):(社員×10人×給与平均30万円)+(配達バイト3人+事務1人+折込2人×給与平均10万円)=360万円
※役員報酬(所長給料)は含まず
⑥販売費(内訳):拡材費・家賃・水道光熱費・他(売上高の約1割で設定)=130万円
⑦営業利益:③-[⑤+⑥]=50万円
① 売上高 |
② 売上原価(変動費) 720万円 | ||
③ 売上総利益 |
④ 固定費 490万円 |
⑤ 人件費 360万円 | |
⑥ 販売費 130万円 | |||
⑦ 営業利益 50万円 |
新聞販売店の財務状況はざっと上記のような感じになると思います。
これをもとに、経営分析をしてみたいと思います。
まず、新聞の売上が減少傾向にある中で、配達区域の数を減らして、1人あたりの配達部数を増やし人件費削減というのが現在の新聞販売店の状況だと考えられます。
次に、「部数状況」を見て見ましょう。
実配数2,400部、月平均減紙率5%だとしたら、毎月120件づつ客数が減少することになります。
そうすると、全体で120件の止めを上回る「入りカード」がないと、右肩下がりで売上も減少してしまいます。
もし、毎年120件の客数減少を阻止するためには、社員が10人いれば1人あたり12枚の「入りカード」が必要です。
そして毎月不足する「入りカード」を外注に依存する形になり、さらに経費がかかります。
結果、また区域を減らして人件費削減しか打つ手がない状況です。
そうすると現状売上を増やすどころか、維持することさえ難しくなるのは見て取れます。
一体どんな手を打ったら良いのか考えてしまいますね。
経営には、どんな業種でもあてはまる「定石」があります。
その定石の一つに、「1:5の法則」というのをご存知でしょうか。
これは、何を意味しているかと言うと、
「新規顧客1件を獲得するのに、既存顧客にかけるコストの5倍は必要になる」
というマーケティング用語です。
これは、なまじ外れていないように感じます。
この法則を参考にすると、新聞販売店の経営リソースのかけどころが見えてくるのではないでしょうか。