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時代の流れとともに日本人の「新聞離れ」が叫ばれてから久しい世の中です。
では、現実に一体どのくらい人々は新聞から離れているのでしょうか?
それには、毎年新聞協会というところが発表している「新聞の発行部数」からうかがい知ることができます。
まずは、2000年から2019年までの新聞の総発行部数(一般紙+スポーツ紙)の推移をグラフにして見てみましょう。
発行部数の推移|新聞販売店.COMこうしてみると、一目瞭然ですね。
2000年から年を追うごとに発行部数が「右肩下がり」になっているがわかります。
では、詳しく数字を追ってみます。

2019年の一般紙とスポーツ紙を合わせた新聞発行部数は3,781万1,248部となっており、前年と比べて約209万部、前年比で5.23%の減少です。
2000年と比較すると、約1590万部のマイナス、減少率では29.59%となっています。

数字からひも解く

あくまで数字上の話ですが、直近の減少率が年約5%ですから、このままの推移を維持して減少し続けると今後20年以内には発行部数が0になるという計算です。
つまり、「2040年を待たず紙新聞が世の中から消滅する」ということですから、新聞業界は危機感を持たずにいられないのは当然のことでしょう。

では、この発行部数減少の要因はどこにあるかです。
そこで、新聞発行部数と日本の世帯数の推移を表したグラフをみてみましょう。
発行部数と世帯数の推移|新聞販売店.COM
このグラフから注目すべきことは、発行部数の減少に対して世帯数が増加していることです。
人口が減少しているのに世帯数が増加?
ちょっと変な感じがしますが、実はこれ「核家族」や「単身世帯」が進んでいることが世帯数の増加に繋がっているということなんです。
そこで、新聞の総発行部数に対する世帯の割合をグラフにすると次のようになります。
一世帯当たりの部数|新聞販売店.COM直近2019年の一世帯あたりの部数は「0.66部」です。
前年は「0.70部」だったので減少率で5.71%、2000年当時と比較すると「1.13部」、減少率で41.59%となります。

この数字から読み取れることは、新聞を取らない新しい世帯が増加していること、つまり、親元を離れた単身学生や社会人、若い夫婦世帯などが要因になっていることは明らかなようです。

新聞の未来像は?

まずは、新聞を手にしない理由よりも、新聞を手にする理由から探ってみることにします。

新聞を手にする理由は?

日本新聞協会が調査したところによると、「新聞を読み始めたきっかけは?」と言う質問に対して一番多かった回答が「家にあったから」、2番目は「社会人になったから」だそうです。

つまり、「家にあったから→新聞を読む」と言うことは、逆に「もし家になかったら→新聞を読まない」、こんな単純ロジックが成立します。

こうなると、若い世代が子供を産み、家庭を築いても、もともと新聞が家になければ子供たちが新聞を手にするキッカケが失われるということです。
その子供たちが大人になり、やがて家庭を築いても…やはり同じですね。

このスパイラルを断ち切るためにはどうすればいいのでしょうか?
もともと「家にあったから→新聞を読む」という単純ロジックがあるわけですから、若い世代、新世帯を中心に「新聞を身近に手にさせる」ことが一番です。

でも、どうやって?
ここが最大ネックとなりそうですが、出来る、出来ないは別にして可能性を追求してみましょう。

新聞を手にしない理由は?

新聞通信調査会の2019年11月2日に発表したメディアに関する全国世論調査によると、「月ぎめで新聞を取らない理由は?」の質問に対して、一番多かった回答が「新聞以外の情報で十分だから」が70.7%でダントツ、2番目は「購読料が高いから」が38.6%と続きます。

しかし、この順位をそのまま真に受けて良いのでしょうか?
日本新聞協会による、新聞と他のメディアの印象や評価を調査したところによると、新聞は「知的である」「自分の視野を広げくれる」「情報源として欠かせない」「地域に密着している」「情報が整理されている」「読んだ(見た・聞いた)ことが記憶に残る」の項目ですべて一位の評価を受けています。

こういった人々の評価を見れば、「新聞以外の情報で十分」という回答結果に少し疑問を抱いてしまいます。
そこで、こんな仮説を立ててみました。

ホンネは、新聞は非常に役立つ情報源だとわかっているけど、お金がかかるから手が出ない

もしこの仮説が本当ならば「月ぎめで新聞を取らない理由」がはっきりしてきます。

新聞離れの打開策は?

では、先の仮説をもとにこれからの新聞のあり方を大胆に考えてみたいと思います。
現状の人々の評価を見れば、新聞自体を否定するものではなく、むしろ新聞の価値が十分理解されているようです。
ただ最大のネックとなるのが、情報の対価、つまり「お金の問題」です。

現在、いわゆる全国5大紙新聞の毎月の購読料金は次のとおりです。

読売新聞 4,400円(セット版)
朝日新聞 4,037円(セット版)
毎日新聞 4,037円(セット版)
産経新聞 3,034~4,037円(地区ごとに異なる)
日経新聞 4,900円(セット版)

このように新聞を定期購読するとなると、毎月3,000~5,000円程度の出費がでるわけです。
おそらく新聞を取らない人の大半は、この「購読料が高い」と思っているわけです。
もっと噛み砕くと、

新聞の情報は貴重

だけど、その金額を払ってまではいらない

だから、他の情報源でカバーする

どうでしょうか、新聞離れの問題をロジカルに追及するとこんな感じになります。

この問題にどう立ち向かうか?答えは単純です。
新聞購読のあり方」を変容させればいいのです。

一番の起爆剤は「新聞の無料化」です。
もし、「新聞を毎日無料で購読できます」と謳(うた)ったら、無購読世帯もたちまち新聞を購読するのではないでしょうか?
おそらく、「新聞離れ」という問題は飛躍的に解消されるに違いありません。

ただし、無料化するとなると「財源は?」など別の問題が浮上します。
発行する新聞社、配達する新聞販売店を支える収益源は「購読料」や「広告料」で担っています。
その「購読料」がゼロになれば、大半の収入源は「広告料」に託されるわけです。
しかし、無料化により発行部数が飛躍的に増大すれば、多くの人々が新聞の紙面広告や折込チラシを目にする機会も増大するはずです。
結果、広告主も積極的に新聞広告を採用することで広告料収入も増大するはずです。

それでも「すべて無料ってわけには…」とさすがに難しいところもあります。
そこで、「無料と有料を分ける」というのはどうでしょう。
例えば、

  • 配達してもらいたい購読者は配達料を実費でもらう
  • 子供がいる世帯の購読者はタダにする
  • 販売店に直接取りに来る人はタダにする
  • 小中学校へクラス数分の新聞はタダで配る   など

まとめ

無料と有料を使い分けたとしても、やはり「財源の問題」は新聞社と販売店の自助努力だけでは限界があります。
そうすると、「国の力」が必要になります。
新聞の定期購読する場合、購読料にかかる消費税は軽減税率である「8%」が適用されています。
では国は「新聞のあり方」をどう見ているのでしょうか?
それは、「新聞などの活字文化は単に消費されるものではなく思索のための食料・栄養源である」という考え方に習っています。
つまり、新聞は「人が考えるために必要不可欠な糧(かて)である!」と言っているわけです。

それだけ「新聞は存在する意義がある」とわかっているのですから、国民の新聞離れを国が何も手を打たないのもおかしな話です。

新聞離れは、お金の問題」と言う仮説に従えば、国が問題解決のために積極的に介入し、新聞購読料に対する「補助金や助成金」を創設してはいかがでしょうか。
他にも、保険料や医療費と同じようにサラリーマンが年末調整で「新聞購読料控除」なんかで税制優遇が出来ると良いかもしれません。

いずれにしても、このまま何も手を打たなければ「新聞紙」という存在が世の中から消えることになります。
新聞離れによる発行部数の減少を食い止め、誰もが新聞をより身近な情報源として持続的に活用するためには、新聞社、新聞販売店はもとより、官民が一体となって取り組む必要がありそうですね。

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