新聞業界に勤めている人なら誰でも知っていると思いますが、「臨配(りんぱい)」という職業があります。
臨配とは、「臨配団」という事業者を通じて、依頼先である新聞販売店の配達業務を請負う仕事です。
臨配の仕事をする人を「臨配人」と呼んでいますが、複数の団に登録して仕事が空かないようにしています。
臨配は知らない土地で、1回の順路取りで当日又は翌日から配達しなければいけないので、代配経験者でないと出来ない職業です。
その為、慢性的な人手不足の新聞販売店は、即戦力として高いコストを払ってでも臨配団に依頼します。
そのような店は、臨配人の数が社員よりも多いところもあると聞いています。
では、臨配人の給料はというと、首都圏では1日あたり10,000円、地方や統合版だと7,000円~9,000円ぐらいが一般的な相場のようです。
もちろん、支払いは依頼した新聞販売店になるますが、その他に紹介先の臨配団にも1人につき1日あたり2,000円~4,000円ぐらいの紹介料(これが臨配団の売上)を支払います。
1ヶ月間臨配を雇うと、約40万円ほどの経費がかかります。
それ以外に、雇い入れた臨配人は、業務を委託した期間中の家賃や水道光熱費も販売店が負担します。
例えば、臨配団が50人の臨配人を抱えて、常時販売店に紹介していたら、1ヶ月あたりの売上は約300万円程です。
事業による経費といえば、臨配人を募集するための求人広告費と事務所の家賃ぐらいでも商売が可能です。
臨配団の仕事は、臨配人の面接と新聞販売店への紹介する職業紹介業に属します。
職業紹介業を行なう為には、厚生労働大臣への許可申請が必要で、また認可を受けるためには500万円程の自己資金が必要になります。
では、この仕事を新聞販売店で行なうことは可能でしょうか?
結論から申し上げると「可能」です。
但し、ある程度の新聞販売店の規模でないと厳しいかもしれませんが、労働派遣事業の認可を受け、自店の社員を他店に派遣することは可能と言えます。
新聞販売店で代配を育てるように、他店への派遣があることを条件とした配達社員を雇い入れればよいわけです。
例えば、普段は、自店で配達してもらい依頼があった場合のみ、他店へ出向という形で働いてもらいます。
あとは売上とコストのバランスの問題ですが、元々人手不足の業界です。
上手く波に乗って人を回すことが出来れば、臨配業は元々経費があまりかからないビジネスなので、新聞販売店の新しいビジネスとして成功するかもしれません。
また、派遣事業でなくても別会社を立ち上げ、通常の臨配団のように職業紹介業の認可を受け臨配人を集めて臨配業を行なう方が許可基準も含めて簡単かもしれません。
既存の臨配団は、新規参入者が極めて少ない為、ほぼ昔から寡占状態と言われます。
新たに新聞販売店がこの事業に参入するとなると、既存の臨配団と競合するわけですから、臨配団にはないきめ細やかなサービス体制や提供価格などで差別化を図ってく必要があります。
臨配ビジネスのポイント
以下、あらたに臨配ビジネスに参入する際のポイントを、いくつか箇条書きにしてまとめてみましたので参考にしてください。
- 新聞販売店は、臨配を 1 度でも依頼すると仕事に特に問題がなかった場合、再度同じ臨配団に継続依頼することが多い。
- 既存の臨配団は、販売店の方から依頼が来るのでわざわざ開拓営業を行うことは稀。
- 依頼主と最初の関係を築くためには、例えば「ガソリン代を自社負担」、期間限定や新規で依頼する販売店は、「初回手数料割引」などは有効。
- 臨配業は販売店との信頼関係で成り立っているため、依頼があった販売店には、責任者が臨配人と同行して挨拶する(この際に販売店責任者と名刺・連絡先を交換する)ことは重要。
- 出来れば臨配人が上がる(業務期間完了)際も、手土産などを持って依頼主のもとへ挨拶に行くと、次の依頼も来る可能性はさらに高くなる。
- 臨配人が業務上の問題など起こした場合は、責任者がお詫びに行くのはもちろんのこと、すぐさま代わりの人間を手配する。
- 元となる臨配人を集めるためには、ある程度の生活の面倒を見てあげると集まりやすくなる。