本来オリンピックイヤーとなる2020年の幕開け間もない頃…
海外のニュースから、中国武漢の市場で得体のしれない感染症の話題がチラホラと聞こえ始めました。
対岸の火事?
当時の日本、いや、世界中の人々の多くはこんな思いだったかもしれません。
それが、まさか!
これほど全世界を震撼する出来事になるとは…
その正体こそが、新型コロナウイルス感染症です。
日本において、その感染症の恐怖をまざまざと知らしめたのは同年2月初旬、横浜港を寄港していた「ダイヤモンド・プリンセス号」における集団感染だったのではないでしょうか。
その後あれよあれよと全国で感染が拡大し、ついには同年4月7日に7都府県、同月16日には全国で緊急事態宣言が発令、日本全体で休業や自粛を余儀なくされました。
第一波襲来を受けた日本では、やや収束?が見られた同年5月25日、緊急事態宣言はまもなく解除されたものの、感染の火種がくすぶるままに、これまでの生活様式は一変してしまいました。
新聞販売店にもコロナ感染の脅威が!
新型コロナウイルスは、残念ながら各地の新聞販売店にも感染が確認されました。
報道ベースで調べると、ざっと以下のような状況です。(令和2年7月現在)
このように、新聞販売店の従業員の中に一人でもコロナ感染者が出てしまうと、他の身近な従業員はもちろん、その販売店全体の業務活動が停止してしまうのが現状です。
新型コロナによる新聞販売店の影響は?
このところ「コロナ禍(カ)」という言葉をよく耳にすることがあります。
これは、新型コロナウイルスが招いた災難や危機的状況を一言で表した言葉です。
この言葉どおり、日本の経済は飲食店、観光業をはじめ、ほぼ全産業に深刻なダメージを与え続けています。
むろん、新聞販売店も他人ごとではなく、経営体制そのものを揺るがしかねない状況が続いています。
その大きな要因とも言えるのが「折込(チラシ)広告」の激減です。
新聞を定期購読している方ならお分かりだと思いますが、緊急事態宣言下における折込チラシの数の少なさに気づかれたのではないでしょうか?
この折込広告というのは、新聞販売店にとって購読料の次に大きなウェートを占める収入源になっています。
その広告料収入が激減すれば、当然、経営が直でひっ迫することは容易にわかります。
また新型コロナによる影響は、財政面以外でも大きな経営リスクを抱え込むことになります。
それは、従業員が感染した場合に配達業務が出来なくなるリスクです。
前出の感染事例からわかるように、たった一人の従業員だけが感染しても、店はたちまち閉鎖しなければならない事態に追いやられます。
もちろん、濃厚接触者はPCR検査や自宅待機と言った措置も講じられます。
それが地域にまん延すると、最悪は新聞配達網が機能しなくなる事態も想定されるわけです。
新聞販売店の新しい生活様式は?
新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言(2020年5月4日)を踏まえ、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が提唱されました。
この内容は、大きく次の4つのテーマで詳細が加えられています。
これらを要約するとポイントは単純に2点です。
- いかに人からウイルスをもらわないように行動するか
- いかに人にウイルスをうつさないように行動するか
では、新聞販売店の実際の業務に当てはめて考えてみましょう。
配達業務
配達中は、基本的に一人で行うこと、長時間人との接触が基本的にないことから感染リスクは比較的低いと思われます。
ただし、バイクや自転車といった配達道具類の衛生面には気を使う必要があります。
人が直接触れるグリップやシートなどは、こまめに除菌したほうが良いでしょう。
折込業務
配達と違い折込作業には、一層注意が必要です。
朝刊に折り込むチラシは、新聞と一緒に各販売店に搬送されます。
それをスタッフで一斉に折り込んでいきます。
新聞販売店でいわゆる「3密」に一番なりやすいのが、このタイミングかもしれません。
では、どのような対応策を講じていけば良いのでしょうか?
- 物理的に可能な限り、作業員同士の距離をあける
- 塩ビシートや仕切り版で各人の作業スペースを確保する
- 作業中は窓を開け換気を十分行う
- 作業員は全員マスク、もしくはフェイスシールドを着用させる
などの環境整備を考えるべきでしょう。
集金業務
集金業務は、購読者のお宅へおじゃまし、対面による機会がつくられることから感染リスクが危惧されるシチュエーションです。
特に、新聞を定期購読している世帯には高齢者世帯も多く含まれますので、一層注意が必要です。
訪問による集金がどうしても避けられない場合は、感染防止対策を万全にしておくことはもちろんですが、時として、玄関ドアをあけずにドア越しでのやり取りで了承を得るなどした対応策も視野に入れておくことも大切です。
また、この機会にクレジットカード払いや口座振替に切り替えを勧めるほうが良いでしょう。
コロナ禍で再編が加速する!?
新聞業界は以前から慢性的な人手不足、購読者の新聞離れ、デジタル化など様々な起因により、紙の新聞の発行数部数は減少の一途をたどっています。
それに今回のコロナが追い打ちとなり、新聞販売店の再編が急速に進む可能性が非常に高くなっています。
各地域で一社の新聞を取り扱ってきた新聞販売店が、複数、もしくは全ての新聞を扱うという「合売店制度」への切り替えが進んでいくことが予想されます。
実は、こうした新聞販売店再編の声は10年近く前から囁(ささや)かれていましたが、様々な事情によってその動きは緩やかでした。
それが、今回のコロナ禍によって一気に大きな流れになるかもしれないのです。
地域の新聞販売店は、新聞社とは切っても切れない唯一無二の存在ですので、今後一層、手厚い支援が必要になることでしょう。
まとめ
新型コロナウイルス感染症は、今後どのような展開を見せるのか、現時点で誰もわかりません。
政府主導の専門家会議では「行動変容の必要性について」提言しておりますが、行動を変えるためには、まず一人ひとりの「意識変革」、つまりは「コロナ・パラダイム・シフト」があってこそ「新しい生活様式」が築かれていくものだと考えます。
この指針とも言える「新しい生活様式」を十分理解しながら、新聞販売店として各々の事業活動に当てはめ、順応していく術を講じていくと同時に、従事する皆さまにおかれましては、仕事以外のプライベートでも「意識変革」→「行動変容」に自助努力を惜しむことなく導いてほしいと願います。