業界紙が廃(すた)れないカラクリとは?

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一般的に「新聞」と言ったら、朝日、読売、毎日、産経、日経など、いわゆる全国紙の5大新聞をイメージする人も多いかと思います。
しかし、日本にはこの5大新聞以外にも様々な新聞が発行されています。
おおまかにカデゴリー別に分けてみましょう。

全国紙
ブロック紙
地方紙
専門紙(経済・産業紙、スポーツ紙、業界紙、夕刊紙)
機関紙

今回、このカテゴリーの中で着目したいのは専門紙に属する「業界紙」です。

この業界紙(=業界新聞)とは、『特定産業・業界の話題に特化した記事を掲載している新聞』のことで、日本では実に様々な業界新聞が発行されています。

ほんの一例として取り上げると、こんな感じです。

・日本農業新聞
・水産新聞
・建設新聞
・日刊薬業
・電気新聞
・日刊不動産経済通信 …

これらは、一目で何の業界紙なのか、あらかた予想はつきます。
しかし、世の中の業界紙にはもっとニッチな新聞もあり、
例えば、こんな感じです。(当サイトの「全国の新聞紙一覧」にも、全国の業界紙を紹介していますので参考にしてみてくださいね。)

・石鹸新報
・仏教タイムス
・エアゾール産業新聞
・日本パン・菓子新聞
・二輪車新聞
・タイハン特報 …

定かではありませんが、いわゆる業界専門紙は全国に1000種以上あると言われています。
その中には、新聞名だけ見ても何の新聞かわからないものもあります。
ここまでくると、業界紙というよりも「カテゴリーキラー紙」と言ったほうがしっくりくるかもしれませんね。

今はデジタル化の時代。
一体なぜ、専門的な業界紙がこれほど多く発行されているのかと言うと、
これはもちろん「必要としている人」がいるからです。

しかし、専門的な情報を得るための手段は新聞以外にも多々あります。
例えば、知りたいキーワードでネット検索すれば、関連する情報はそれなりに得られるはずですよね。

実は、業界紙と言うものは、そこにカラクリが隠されているのです。
特定業界の専門的な情報を必要としている人たちは、「それなりの情報で済ませられない」と言うことです。

まず、ネットにあがる情報は、一言で表すと「玉石混交(ぎょくせきこんこう)」です。
つまり、様々な情報を吸い上げても、「出所が不明なもの」や「いつの情報かわからないもの」、「発信者の意見なのか事実なのか曖昧なもの」など多く含みます。

更に付け加えると、情報の歪曲(わいきょく)や加工もネット情報なら簡単に出来てしまうことから、よっぽどの「情報リテラシー」を身につけていないと、情報精査は非常に難しいと言えます。
また、専門的かつニッチな情報ほどネット上から得るには相当の手間がかかることでしょう。

要するに、情報の信ぴょう性信頼度労力の問題です。
そのことから、業界紙はこれらの問題を排除した情報媒体であると言えるでしょう。

「正確かつ新鮮で、定期的に、特定情報だけをピンポイントで得たい」という購読者側のニーズと、同じ志向性を強く持つ母集団と共有しながら、業界全体の発展に繋げたいという発行者側との思惑が見事にマッチングしています。

これを一つの市場と捉えるならば、小規模ながらも特定志向が明確であるため、ピンポイントのマーケティングができることも業界紙の狙いの一つかもしれません。

『情報過多』と言われている今の時代。
専門的かつニッチな特定情報を、「業界紙(新聞)を購読する」という形で利用する人たちは確実に存在します。
そして新聞販売店は、その『情報媒体の経路』として大きな役割を担っているわけです。

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